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相続・実家

母が一人でやっていた実家管理を引き継いだら、その重さに気づいた|長男が担った12のこと

母が亡くなってから、初めてわかったことがあります。

母は、一人で全部やっていた。

家のこと、お金のこと、父のこと、近所のこと、祖母のこと——誰にも頼らず、夜勤明けでも、体が辛くても、黙って全部こなしていた。私はそれを、「当たり前」だと思っていました。

27歳で母を亡くし、その「当たり前」を引き継いだとき、初めてその重さに気づきました。

① お風呂の全自動リフォーム

薪とガスを併用する昔ながらのお風呂。88歳の祖母が何度も空焚きをしかけていました。火災リスクを考え、全自動給湯システムへのリフォームを即決。約80万円の出費でしたが、これは贅沢ではなく「リスク管理」です。ボタン一つでお湯が沸く今の便利さを、一番使わせてあげたかったのは母でした。

② 生協の配達導入

片道2時間半の遠距離では、祖母の食事管理が最大の課題でした。生協の定期配達を導入し、栄養バランスの取れた食事が届く仕組みを作りました。母はこれを毎日、自分の足で買い物してこなしていた。その体力と時間が、どれほどのものだったか。

③ 家計・資金管理の可視化

母が亡くなって初めて、家計の全体像をスプレッドシートで整理しました。複数の銀行口座、保険料、固定費——すべて母の頭の中にあったものを、一から洗い出す作業。年間15万円の保険料の存在も、ここで初めて気づきました。お金の話を避け続けた代償が、ここに凝縮されていました。

④ 祖母の定期受診の仕組み化

88歳の祖母には複数の持病があります。リハビリ職として、定期受診の重要性は誰より知っています。かかりつけ医のリスト化、受診スケジュールの管理、薬の把握——母が記憶だけでこなしていたことを、すべて「仕組み」に変えました。

⑤ 冠婚葬祭・親戚付き合い

地方の古い土地柄では、冠婚葬祭は欠席できません。近所の葬儀、親戚の法要、季節の挨拶——仕事の休みを調整し、片道2時間半を何度も往復しました。母はこれを何十年も続けてきた。「顔を出すだけでいい」は大嘘で、準備も気遣いも相当なエネルギーが要ります。

⑥ ドラム式洗濯機の導入

重い洗濯物を抱えて外に干す作業は、高齢者の腰と膝を確実に削ります。ドラム式洗濯乾燥機を導入し、洗濯から乾燥まで自動化しました。母が生きているうちにやっておけばよかった、と今も思います。

⑦ 遺品・物の片付け

母が遺した膨大な荷物。整理整頓が苦手だった母の部屋には、ポイントカード、古い書類、思い出の品々が山積みでした。思い出を「片付ける」作業は、これほどまでに心を削るものか——帰りの車の中で、何度頭が真っ白になったかわかりません。

⑧ 祖母の介護全般

祖母の介護は、母が一手に引き受けていました。身体的なケアだけでなく、話し相手、心のケア、日常の困りごとへの対応——深夜に帰宅しても、祖母の1時間の独白に付き合います。それが「守る」ということだと、自分に言い聞かせながら。

⑨ 近所付き合いの継承

田舎の近所付き合いは、想像以上に濃い。向こう三軒両隣への挨拶、地域の行事、回覧板——母が長年かけて築いた人間関係を、一からなぞっていく作業。「息子さん、ちゃんとしてるね」という言葉が、唯一の救いでした。

⑩ 本来、父が負担すべきお金

婿として家に入った父は、家にお金を入れない人でした。固定費、生活費、修繕費——本来、夫が担うべき費用を、母は一人で払い続けていた。その構造は今も変わらず、実家にかかるお金は私が負担しています。母がどれほどの重さを一人で背負ってきたか、数字を見るたびに実感します。

⑪ 父親の身の回りの世話と機嫌取り

父の服の用意、食事の段取り、そして機嫌取り。ギャンブルやお酒で荒れることもある父の感情を、母はずっとコントロールし続けていました。私はその一部を引き継ぎましたが、母が何十年もこれをやってきたと思うと、言葉がありません。

⑫ 市役所・行政手続き全般

相続手続き、介護認定の申請、各種給付金、名義変更——役所の手続きは種類が多く、窓口ごとに必要書類が違います。仕事を休んで平日に動き、わからないことは一から調べる。お金の知識と同じくらい、「手続きの知識」も必要だと痛感しました。

母が一人でやっていたことの「総量」

この12項目を書き出してみて、改めて気づきます。

母は看護師として夜勤をこなしながら、これを全部やっていた。文句一つ言わずに。誰かに頼ることもなく。

私は今、その一部を引き継いで「きつい」と感じています。母はこの何倍もの重さを、何十年も背負っていた。

だから私は、お金を増やすことをやめません。お金があれば、外注できることがある。お金があれば、介護施設という選択肢が生まれる。お金があれば、母のように一人で全部抱え込まなくて済む仕組みが作れる。

「お金が守るもの」——それは家だけじゃない。誰かの「限界」を超えさせないことも、お金の役割だと今は思っています。

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ゆるり
リハビリ職の長男。片道2.5時間の距離にある実家で、88歳の祖母の介護と母の相続に向き合っています。看護師だった母が一人で守り続けた家と家族を、今度は自分が守る番だと思っています。母の遺産を新NISAや高配当株で運用しながら、介護・仕事・家族の思い出を両立させるための試行錯誤を、同じ悩みを持つ方へ届けます。