介護する側が崩れてはいけない。自分の経済基盤を守りながら介護を続けるために
介護の現場では「お金がなければ続けられない」という現実が常につきまとっています。介護をしている方から「もう限界かもしれない」という言葉を聞くとき、その原因の多くはお金の問題と体力の問題が絡み合っています。今回は、現役の訪問リハビリ専門職として、また実際に祖母の介護に関わってきた経験から、介護を続けるための経済基盤の整え方についてお伝えします。
介護する前提は「自分の家計が安定していること」
介護をするうえで最も大切な前提条件は、介護をする側の家計が安定していることです。これは冷たい言葉に聞こえるかもしれませんが、飛行機の中での案内と同じです。「緊急時はまず自分の酸素マスクをつけてから、お子様を助けてください」という案内があるように、自分が安定していなければ他者を助けることはできません。
介護費用は思っている以上にかかります。交通費、医療費の立替、日用品の購入、住環境の整備など、目に見えない出費が積み重なっていきます。もし介護者自身の家計が不安定であれば、最終的には介護を続けることが難しくなります。介護者が家計を安定させることは、介護を継続するための最優先事項です。まず自分のお金の状況を整理することから始めましょう。
病院送迎・緊急対応はお金では表せない家族の価値
介護の中には、お金では測れない家族だからこそできることがたくさんあります。病院への送迎は、プロのヘルパーに依頼すると費用がかかりますが、家族が行えば費用はかかりません。しかし、その「タダ」には大きな誤解があります。
車を持っていれば燃料代、高速料金、駐車場代がかかります。時間的なコストも無視できません。仕事を休んで送迎するなら、その分の収入が減るということです。緊急対応は特にそうです。夜中に急変があったとき、すぐに駆けつけられる体制を整えておくことは、精神的にも経済的にも準備が必要です。
家族の介護には「見えないコスト」がたくさん存在します。これを認識せずに「家族だから無料でできる」と考えてしまうと、いつの間にか自分の家計が圧迫されていきます。
「おんぶに抱っこ」では双方が崩れる理由
介護において「おんぶに抱っこ」の関係が続くと、最終的には介護する側もされる側も共倒れになるリスクがあります。たとえば、介護者が自分の老後資金を取り崩しながら介護費用を援助している場合、20年後に介護者自身が困窮するという事態が起こり得ます。
また、被介護者が「家族に全部やってもらえる」と思いすぎると、本来利用できる公的サービスを活用しない選択をしてしまうことがあります。結果として、家族への依存度が高まり、介護者の負担が増大します。持続可能な介護体制を作るためには、公的サービスとの適切な組み合わせと、家族それぞれが経済的に自立していることが重要です。
収入の範囲内で暮らすための家計管理3ステップ
介護者として経済基盤を守るために、以下の3ステップで家計を管理することをお勧めします。
ステップ1:収支を「見える化」する
まず、毎月の収入と支出を書き出します。銀行口座の明細や家計簿アプリを活用して、お金の流れを正確に把握しましょう。介護に関連する出費も「介護費用」として別枠で管理すると、どこにお金がかかっているかが明確になります。
ステップ2:固定費を削減する
収支が見えたら、次は固定費の見直しです。スマートフォンの料金プラン、保険料、サブスクリプションサービスなど、毎月固定でかかる費用を削減することで、家計の余裕が生まれます。
ステップ3:介護費用の予算を設定する
介護に使える月々の予算上限を決めます。それを超える場合は、公的サービスの活用を検討します。ケアマネジャーに相談すれば、使えるサービスを教えてもらえます。
生活防衛資金はいくら必要か
介護中の生活防衛資金は、通常よりも多めに確保しておくことが大切です。一般的に生活防衛資金は「生活費の3〜6ヶ月分」と言われていますが、介護中は予期せぬ出費が増えやすいため、「生活費の6〜12ヶ月分」を目標にすることをお勧めします。
たとえば、毎月の生活費が20万円であれば、120万円〜240万円を生活防衛資金として確保しておくイメージです。この資金は手をつけやすい銀行口座(普通預金や高金利の定期預金)に置いておきましょう。投資には回さず、いつでも引き出せる状態を維持することが重要です。
生活防衛資金が整っていれば、突然の出費があっても冷静に対処できます。精神的なゆとりが、介護の質を高めることにもつながります。
まとめ
介護は長期戦です。感情だけで続けていると、いつか限界が来ます。自分の家計を守ることは、介護を続けるための土台づくりです。収入の範囲内で暮らし、生活防衛資金を確保し、家族と公的サービスを上手に組み合わせていくことが、持続可能な介護体制の第一歩となります。介護する側が経済的に崩れてしまっては、大切な家族を守ることができません。まず自分の家計を整えることから始めていきましょう。
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