📅 最終確認日:2026年4月29日(情報の鮮度を定期的に見直しています)

「おんぶに抱っこだと、双方が崩れる」

これは介護を経験して、自分の中に残った言葉だ。介護される側が介護する側に全依存する。介護する側が自分の家計を犠牲にして支え続ける。そういう構造になったとき、最終的にはどちらも持たない。

訪問リハビリの現場でも、同じ場面を何度も見てきた。家族の介護のために仕事を辞め、貯金を切り崩し、気づけば自分が追い詰められている。「親のため」という気持ちが、最終的に親の介護環境まで壊してしまう皮肉。

介護する側が崩れてはいけない。これは冷たい言葉ではなく、介護を長く続けるための、一番リアルな条件だ。

「自分の家計が成り立つこと」が介護の前提条件

介護が始まると、出費が増える。交通費、日用品の立替、仕事を休む日数の増加。「大した額じゃない」と思っていても、月3〜5万円の追加支出が1年続けば36〜60万円だ。

私が介護に関わり始めて最初に決めたことは、「自分の収支を絶対に黒字に保つ」というルールだった。これは親への冷たさではない。自分が経済的に安定していなければ、1年後・3年後の介護を続けられないという現実を、数字で直視した結果だ。

まず整理すること——口座・カード・ポイントカード

介護が始まる前にやっておくべきことがある。「整理」だ。

  • 口座の数を減らす(使っていない口座を解約。管理できる数だけに絞る)
  • クレジットカードの数を減らす(メイン1〜2枚に集約。明細管理をシンプルに)
  • ポイントカードの数を減らす(使っていないポイントは「貯めているようで消えている」)
  • サブスクを見直す(使っていないサービスが毎月引き落とされていないか確認)

なぜ整理が必要か。介護が始まると「自分のこと」を考える余裕が急激に減る。その状態で家計が複雑になっていると、どこから何が引き落とされているかすら把握できなくなる。整理は「元気なうちにしかできない作業」だ。

収入より支出が多い状態では、介護は成立しない

当たり前のことを書く。収入より支出が多い状態が続くと、家計は必ず破綻する。

介護がある生活では、この「当たり前」が崩れやすい。親のためなら少々赤字でも、という気持ちが積み重なる。介護のために転職・減収を選ぶ。交通費・日用品・立替が増える。自分の投資・貯蓄を止める。

一つひとつは小さく見えても、複合するとあっという間に家計が傾く。傾いたとき、精神的な余裕も同時に失われる。余裕がなくなった介護は、虐待リスクすら生む——訪問リハビリの現場で、そのギリギリの家族を何度も見てきた。

やってはいけないこと なぜか
介護のために仕事を辞める 収入源を失うと長期の介護が不可能になる
立替払いを精算しないまま続ける 自分の資産が気づかないうちに減り続ける
自分の投資・貯蓄を止める 老後に自分が「介護される側」になる資産が消える
親に依存される構造を放置する おんぶに抱っこは双方が崩れる原因になる

自分の資産運用を「介護期間中も」続けた理由

私は介護に関わっている期間も、NISAの積立を止めなかった。月の積立額は変えなかった。「介護があるから投資は後回し」という発想を持たなかった。

理由はシンプルで、自分の老後の介護費用を、自分で準備し続けなければならないからだ。親の介護を経験したことで、「お金がないと選択肢がなくなる」という現実を肌で知った。施設の選択肢、在宅ケアの質、緊急時の対応——すべてがお金で決まる場面がある。

親の介護をしながら、同時に自分の将来の準備をする。これは薄情なことではなく、むしろ次世代に「おんぶに抱っこ」させないための、一番の親孝行だと思っている。

🦉

「介護しながら自分の投資を続ける」って、罪悪感を感じる人もいそうですよね
🛡️

感じます。でも10年後・20年後に自分が困ったとき、子どもに「おんぶに抱っこ」させるのか、という問いに向き合うと、続けることが誠実だと思えてきます
🦉

「おんぶに抱っこだと双方が崩れる」は親子両世代に言えることなんですね
🛡️

介護者が「使える制度」を把握しているか

介護者自身を守るための制度は、意外と知られていない。以下を把握しておくだけで、自分の家計・キャリア・健康を守れる選択肢が広がる。

  • 介護休業給付金:雇用保険から給付(休業前賃金の67%)。最大93日・3回まで分割取得可能。
  • 介護休暇:年5日(対象家族が2人以上なら10日)を時間単位で取得できる。無給だが職場に申し出るだけで使える。
  • 高額介護サービス費:月の介護費用自己負担が上限を超えた場合、超過分が払い戻される。申請しないと受け取れない。
  • 介護医療院・ショートステイ:「少し休みたい」ときに親を預ける施設。定期的に使うことで介護者の疲弊を防げる。

今すぐやること

  1. 自分の有給・介護休暇の残日数を確認する——使える日数を知らないまま「休めない」と思い込んでいるケースが多い。
  2. 高額介護サービス費の申請状況を確認する——役所から通知が来ていても申請しないと受け取れない。1年分まとめて請求できる場合もある。
  3. 自分の毎月の貯蓄額を確認する——介護が始まってから貯蓄がゼロになっていないか。「自分の老後の準備」が止まっていないかを点検する。
そうです。介護する側が自立していることが、介護の質を守る。これは冷たさじゃなくて、持続可能な愛情の形だと思います

「崩れない介護」をつくる3つの原則

  1. 介護費用は親の資産から出す(子世代の家計に手をつけない構造をつくる)
  2. 自分の収支は絶対に黒字を守る(赤字が続く介護は長続きしない)
  3. 投資・貯蓄を止めない(自分の老後準備を介護期間中も続ける)

おんぶに抱っこだと、双方が崩れる。介護は長距離走だ。走り切るための体力を、自分自身が持ち続けること。それが一番の介護だと、現場と自分の経験から確信している。

介護費用はまず親の資産から——家族単位での費用管理術

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✍️ この記事を書いた人

ゆるり|訪問リハビリ専門職

現場で1,000人以上のご家族と関わってきた訪問リハビリ職。27歳で母を亡くし、密葬60万円・相続登記45万円・兄弟3人で揉めた相続を経験。

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ゆるり
リハビリ職の長男。片道2.5時間の距離にある実家で、88歳の祖母の介護と母の相続に向き合っています。看護師だった母が一人で守り続けた家と家族を、今度は自分が守る番だと思っています。母の遺産を新NISAや高配当株で運用しながら、介護・仕事・家族の思い出を両立させるための試行錯誤を、同じ悩みを持つ方へ届けます。