📌 認知症が始まる前にしか選べない選択肢を、現場目線で比較

本記事は2026年4月時点の制度概要を一般情報として整理したものです。実際の選択は司法書士・弁護士・税理士に相談ください。

「親が認知症になりかけている」「成年後見・家族信託・任意後見、何が違うか分からない」

訪問リハビリの現場で本当によく聞かれる質問です。3つは似ているようで、使えるタイミング・費用・自由度がまったく違います

本記事では、3つの違いを一目で分かる比較表と、家庭タイプ別の選び方を整理します。

3つの制度の違い(一覧表)

項目 成年後見 任意後見 家族信託
使えるタイミング 判断能力が落ちた後 元気なうちに契約、能力低下後に発動 元気なうちに契約、即時発動可
後見人 家裁が選任(弁護士・司法書士が多い) 本人が事前指定 家族など信頼できる人
費用(初期) 10〜30万円 10〜30万円 30〜100万円
月額費用 2〜6万円(後見人報酬) 2〜6万円(発動後) 原則不要(家族間)
財産運用の自由度 低い(保全重視) 中(契約内容次第) 高い(柔軟な運用可)
不動産の売却 家裁の許可必要 契約内容次第 スムーズに可能
家裁の関与 継続的に強い 監督人を通じて 基本なし

① 成年後見制度(法定後見)

判断能力が落ちた後に、家庭裁判所が後見人を選任する制度です。

メリット

  • 家裁監督下で公正性が担保される
  • 本人を悪用から守る効果が高い
  • 金融機関が手続きに応じやすい

デメリット

  • 判断能力が落ちないと使えない(事前準備不可)
  • 後見人が弁護士・司法書士など第三者になることが多く、月額2〜6万円が一生続く
  • 財産運用の自由度が極めて低い(リスク回避重視)
  • 不動産の売却に家裁の許可が必要

② 任意後見制度

元気なうちに「将来後見人になってほしい人」と契約しておく制度です。

メリット

  • 本人が後見人を選べる(家族でもOK)
  • 契約内容を事前に細かく決められる
  • 判断能力低下時に家裁経由で発動

デメリット

  • 判断能力低下後しか発動しない(元気なうちは効果なし)
  • 任意後見監督人の選任が必須(月額1〜3万円)
  • 家族信託に比べると自由度はやや低い

③ 家族信託

元気なうちに、家族に財産管理を信託しておく制度です。

メリット

  • 契約即時発動。元気なうちから効果あり
  • 不動産の管理・売却がスムーズ
  • 家族間で完結し、月額費用が原則不要
  • 2次相続まで指定可能(誰に何を、どの順で渡すか設計できる)

デメリット

  • 初期費用が高め(30〜100万円)
  • 身上監護(医療・介護契約)はカバーしない
  • 家族間のトラブルが起きやすい構造(受託者と受益者の関係)
  • 金融機関によっては信託口口座開設に消極的なところあり

家庭タイプ別の選び方

家庭の状況 おすすめ 理由
親が既に判断能力低下 成年後見 他の選択肢が使えないため
親が元気+不動産あり 家族信託 不動産売却の自由度が高い
親が元気+資産シンプル 任意後見 家族信託より低コスト
家族が信頼できる人がいない 任意後見+第三者 弁護士等の専門家を指定
複数の不動産+兄弟複数 家族信託+遺言 2次相続まで設計可

3つを併用するパターンも

実は、「家族信託+任意後見」を併用するご家庭も増えています。

  • 家族信託で「財産管理(特に不動産)」をカバー
  • 任意後見で「身上監護(医療・介護契約)」をカバー

これで、財産も生活も両方守れる体制が作れます。詳しい設計は、家族信託に強い司法書士・弁護士に相談を。

始めるタイミング

結論:「親に少しでも認知機能の低下を感じたら、即動く」

家族信託も任意後見も、判断能力が残っているうちにしか契約できません。「もう少し様子を見よう」と思っているうちに、選択肢を失うご家族を現場で何人も見てきました。

診断を待たずに、まず司法書士・弁護士に「うちの場合どれが向くか」相談するだけで、家族の未来が変わります。

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✍️ この記事を書いた人

ゆるり|訪問リハビリ専門職

現場で1,000人以上のご家族と関わってきた訪問リハビリ職。27歳で母を亡くし、密葬60万円・相続登記45万円・兄弟3人で揉めた相続を経験。

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ゆるり
リハビリ職の長男。片道2.5時間の距離にある実家で、88歳の祖母の介護と母の相続に向き合っています。看護師だった母が一人で守り続けた家と家族を、今度は自分が守る番だと思っています。母の遺産を新NISAや高配当株で運用しながら、介護・仕事・家族の思い出を両立させるための試行錯誤を、同じ悩みを持つ方へ届けます。