📅 最終確認日:2026年4月29日(情報の鮮度を定期的に見直しています)

「夫が逝ったら、私はいくら受け取れますか」

この質問を、現場で何度聞いたかわからない。訪問リハビリの利用者さんの配偶者から、入院中の病室で、施設入居後の面談で。遺族年金は「もらえるとは聞いたけど、いくらかわからない」という人がほとんどだ。

知らないままでいると、受け取れるはずのお金を取り逃す。この記事で、計算式・申請方法・よくある落とし穴を整理する。

遺族年金には2種類ある

種類対象支給額の目安
遺族基礎年金子のある配偶者・子月約6.7万円+子の加算
遺族厚生年金会社員・公務員の配偶者等夫の老齢厚生年金の3/4

専業主婦・パート勤務の妻が、会社員の夫に先立たれた場合、遺族厚生年金の対象になることが多い。「子どもがいない」「末子が18歳を超えている」場合は遺族基礎年金はもらえないが、遺族厚生年金は受け取れる可能性がある。

遺族厚生年金の計算式

遺族厚生年金は、亡くなった夫が将来受け取るはずだった老齢厚生年金の4分の3が支給される。

ざっくりした目安:

  • 夫の平均月収が30万円・加入期間20年 → 遺族厚生年金は月約5〜6万円程度
  • 夫の平均月収が40万円・加入期間30年 → 月約8〜10万円程度

正確な金額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できる。亡くなった後でも、年金事務所で試算してもらえる。

🦉うめさん
遺族年金って自動的にもらえるの?申請しなくてもいい?
🛡️まもるくん
申請しないともらえない。夫が亡くなってから5年以内に年金事務所へ請求書を出す必要がある。「誰かがやってくれる」ではなく、自分から動かないと取り逃す。亡くなった直後は気力がないけど、早めに動くことが大事。

よくある落とし穴3つ

  1. 自分の老齢年金との併給調整——妻自身が65歳になると、自分の老齢年金と遺族年金を両方はもらえず、有利な方を選ぶか一部のみ受給になる。知らずに損している人が多い。
  2. 再婚すると受給権が消滅する——遺族年金は再婚した時点で停止される。事実婚も含まれる場合がある。
  3. 子の年齢制限——遺族基礎年金は「18歳の年度末まで」の子がいる場合のみ。障害がある子は20歳未満まで延長される。

申請の流れ

  1. 死亡診断書・戸籍謄本・年金手帳などを準備
  2. 最寄りの年金事務所(または市区町村の国民年金窓口)へ持参
  3. 「遺族年金請求書」を提出
  4. 審査後、支給開始(通常2〜3ヶ月後)

請求は5年の時効があるが、できるだけ早く動くことを勧める。遡及支給もされるが、手続きが複雑になる。

現場で見た「知らなかった」の現実

訪問リハビリの現場で、夫を亡くした利用者さんが「遺族年金をもらっていない」ことに気づいたことがある。亡くなってから3年が経っていた。申請すれば3年分の遡及受給ができたが、必要書類の収集だけで2ヶ月かかった。

制度は存在する。でも「知っていて、動いた人」だけが受け取れる。


申請に必要な書類リスト

遺族年金の請求には、以下の書類が必要になる。亡くなった直後に全部揃えるのは辛いが、早めに動くと受給開始も早くなる。

  • 死亡診断書のコピー(原本は返却されない場合も)
  • 戸籍謄本(被保険者と請求者の続柄がわかるもの)
  • 住民票(請求者と子の住民票)
  • 年金手帳(被保険者・請求者の両方)
  • 請求者の収入を確認できる書類(源泉徴収票等)
  • 振込先口座の通帳またはキャッシュカードのコピー

「全部そろってから行こう」と思って先送りしている間にも、受給開始は遅れる。一部不足していても、まず年金事務所に相談に行くのが正解だ。

65歳になったら「選択」が必要になる

妻が65歳になると、自分自身の老齢年金も受給できるようになる。ここで多くの人が知らないルールがある。

遺族厚生年金と自分の老齢年金は、一部しか併給されない。具体的には、自分の老齢厚生年金が優先して支給され、遺族厚生年金との差額分が支払われる仕組みになった(2007年改正以降)。

たとえば、自分の老齢厚生年金が月3万円、遺族厚生年金が月6万円なら、差額の3万円だけが遺族厚生年金として支給される。合計は6万円で変わらないが、仕組みを知らないと「減った」と感じて混乱することがある。

65歳時点で年金事務所から「年金額の改定通知書」が届く。ここで選択の確認が行われるので、必ず中身を読んでほしい。

夫が妻より先に逝った場合——夫の遺族年金は受け取りにくい

遺族厚生年金は性別で扱いが違う。妻(夫に先立たれた女性)は年齢制限なく受給できるが、夫(妻に先立たれた男性)は原則55歳以上でないと受給できない(60歳から実際に支給)。

この非対称は「夫が稼ぎ手」という従来モデルに基づいていた。制度の変化は議論されているが、現時点ではこのルールが適用される。妻が亡くなった場合に遺族年金をあてにしていると、想定外の事態になることがある。

今すぐできること

  • 「ねんきん定期便」を引き出しから出して見る——夫の年金見込み額がわかれば、遺族厚生年金の目安が計算できる
  • 「ねんきんネット」に登録する——スマホから詳細な試算ができる
  • 年金事務所に「試算」を依頼する——「もし今夫が亡くなったら、私はいくら受け取れますか」と聞くだけでいい。無料で教えてもらえる
  • 受取口座を自分名義で持つ——夫名義の口座が凍結されると、年金振込先の変更手続きが必要になる

「知らなかった」で終わらせないために。今日、ねんきん定期便を一枚探してみてほしい。

📌 配偶者が亡くなった後の口座・相続手続きはこちら→ 母の口座が凍結された朝、私がやった7つのこと

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✍️ この記事を書いた人

ゆるり|訪問リハビリ専門職

現場で1,000人以上のご家族と関わってきた訪問リハビリ職。27歳で母を亡くし、密葬60万円・相続登記45万円・兄弟3人で揉めた相続を経験。

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ゆるり
リハビリ職の長男。片道2.5時間の距離にある実家で、88歳の祖母の介護と母の相続に向き合っています。看護師だった母が一人で守り続けた家と家族を、今度は自分が守る番だと思っています。母の遺産を新NISAや高配当株で運用しながら、介護・仕事・家族の思い出を両立させるための試行錯誤を、同じ悩みを持つ方へ届けます。