📅 最終確認日:2026年4月29日(情報の鮮度を定期的に見直しています)

親が逝って、実家が空っぽになった。

「どうしましょう……実家に誰も住まなくなってしまって」

訪問リハビリで看取りに関わった後、残された家族からこんな相談を受けることがある。感情と現実が同時に押し寄せる中で、「売る・貸す・住む」の3択を迫られる。でも、焦って決めた判断は後悔になりやすい。

この記事では、実家の空き家問題を「売る・貸す・住む」の3つの選択肢に整理して、それぞれのメリット・デメリットと、判断する前に確認すべきことをまとめた。

まず知っておくべき「放置リスク」

「とりあえず何もしない」は、実はコストがかかる選択だ。空き家にしておくだけで、以下が発生し続ける。

  • 固定資産税(住宅用地の特例が外れると最大6倍になる場合がある)
  • 火災保険・建物管理費
  • 草刈り・定期清掃などの維持費
  • 老朽化による資産価値の下落

特に「特定空き家」に指定されると、住宅用地の特例が撤廃され固定資産税が跳ね上がる。放置は選択ではなく、リスクを積み上げる行為だ。

3つの選択肢を比較する

選択肢メリットデメリット向いているケース
売る維持費ゼロ・まとまった現金思い出との別れ・相場次第相続人が遠方・維持できない
貸す毎月収入・所有権を残せる空室リスク・修繕費・管理手間立地が良い・将来戻る可能性
住む思い出を残せる・家賃不要通勤・生活コスト・維持費近距離・職場が近い

判断前に確認すべき5つのこと

  1. 相続人は何人いるか——共有名義になると、売却・賃貸に全員の同意が必要になる
  2. ローンは残っているか——残債があれば売却代金との相殺が発生する
  3. 築年数と耐震基準——1981年以前の旧耐震基準の建物は賃貸に出しにくく、売却価格にも影響する
  4. 立地・最寄り駅からの距離——徒歩15分以内かどうかで賃貸需要が大きく変わる
  5. 相続税・譲渡所得税——売却時には税金が発生する場合がある。3年以内なら「居住用財産の3,000万円控除」が使える可能性
🦉うめさん
感情的には残したいけど、年間の維持費がこんなにかかるなら、現実的に考えないといけないね。
🛡️まもるくん
「残したい」という気持ちは大切にしていい。ただ、年間いくらかかるかを数字で把握した上で決めることが重要。感情と現実、両方を見て初めて「本当の選択」ができる。

私が実家を「残す」と決めた理由

私自身、母が亡くなった後に実家をどうするか悩んだ。兄弟間で意見が分かれた時期もあった。最終的に「残す」を選んだのは、祖母がまだ実家を使っているという事情もあったし、思い出の場所を手放す準備が、まだできていなかったからだ。

でもその選択には、年間61万円という維持費が伴う。それを把握した上で「それでも残す」と決めた。知らずに残すのと、知って残すのでは、心の重さが全然違う。

まとめ:焦らず、でも先送りしない

実家の空き家問題に「正解」はない。家の状態・立地・相続人の状況・感情——すべてが絡み合う。だからこそ、早めに専門家(不動産会社・司法書士・税理士)に相談しながら判断することをすすめる。

焦って決める必要はない。でも「何もしない」は、時間がたつほどコストが積み上がる。まず現状を把握することから始めよう。


2023年「空き家特措法」改正——放置すると固定資産税が最大6倍に

2023年12月、空き家対策特別措置法が改正された。最大の変更点は「管理不全空き家」という新しい区分ができたことだ。

従来は「特定空き家」(倒壊危険など)に指定されると固定資産税の住宅用地特例(最大1/6)が外れて最大6倍になっていた。改正後は、倒壊するほど危険でなくても「管理が不十分」と認定された段階で同様の措置が取られる可能性がある。

「誰も住んでいないが、一応きれいにしている」という状態でも、草木が伸び放題・雨漏りが続く・害獣が住み着くといった状態になれば対象になりうる。放置コストは年々上がっている。

「空き家バンク」という選択肢

売るほどではないが持て余している、という場合に使えるのが空き家バンクだ。自治体が運営する物件情報サイトで、購入希望者や賃借希望者とマッチングできる。

メリットは、不動産業者を通さずに情報発信でき、移住希望者と直接交渉できること。農村・郊外の物件でも一定の需要がある。デメリットは、成約まで時間がかかること、法的・建築的な確認は自己責任になること。

国土交通省の「全国版空き家・空き地バンク」から自治体別に検索できる。まずどんな条件の物件が登録されているかを見るだけでも、相場感がつかめる。

相続前に売るか、相続後に売るか

実家の処分を考えるとき、「親が生きているうちに売るか、相続してから売るか」で税負担が変わることがある。

  • 親が生きているうちに売る——親の確定申告が必要。「居住用財産の3,000万円特別控除」が使える可能性がある(親が実際に住んでいた場合)
  • 相続後に売る——「相続空き家の3,000万円特別控除」が使える(2027年まで、一定要件あり)。要件として取り壊しか耐震改修が必要なケースも

どちらが有利かはケースバイケースで、築年数・取得費・改修費・相続人の数などで計算が変わる。税理士に試算してもらうのが確実だ。

今すぐやること

  1. 固定資産税の納税通知書を確認する——実家の土地・建物の評価額と税額がわかる
  2. 登記名義人を確認する——まだ亡くなった祖父母名義のままなら、相続登記が必要
  3. 建物の状態を年に1回は目視確認する——雨漏り・害獣・外壁の劣化がないか
  4. 兄弟姉妹と「どうするか」を話し合う——一人が決めると後でもめる。早めの合意形成が鍵

「実家問題」は後回しにするほど選択肢が減る。空き家になった日から、コストは静かに積み上がっていく。

📌 実家を残す場合のコスト試算はこちら→ 【固定費全公開】年間219万円——2拠点生活の維持費をFIRE視点で換算

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✍️ この記事を書いた人

ゆるり|訪問リハビリ専門職

現場で1,000人以上のご家族と関わってきた訪問リハビリ職。27歳で母を亡くし、密葬60万円・相続登記45万円・兄弟3人で揉めた相続を経験。

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ゆるり
リハビリ職の長男。片道2.5時間の距離にある実家で、88歳の祖母の介護と母の相続に向き合っています。看護師だった母が一人で守り続けた家と家族を、今度は自分が守る番だと思っています。母の遺産を新NISAや高配当株で運用しながら、介護・仕事・家族の思い出を両立させるための試行錯誤を、同じ悩みを持つ方へ届けます。