実家を売るか、残すか——相続経験者が後悔した「3つの判断ミス」と維持コストの現実
✍️ この記事を書いた人
ゆるり|訪問リハビリ専門職
現場で1,000人以上のご家族と関わってきた訪問リハビリ職。27歳で母を亡くし、密葬60万円・相続登記45万円・兄弟3人で揉めた相続を経験。
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👨⚕️ 訪問リハビリ職・ゆるりからの問いかけ
「実家、売った方がいいの?
それとも残すべき?判断できない…」
相続した実家をどうするか、これほど判断が難しい問題はありません。「売る vs 残す」の正解は家族の状況によって全く違う。相続経験者として判断軸を整理しました。
📋 この記事の結論(PREP法で整理)
実家を「売る」か「残す」かは、維持コスト・固定資産税・相続人の居住予定・感情的価値の4軸で決める。数字だけで判断すると後悔し、感情だけで決めると損します。
空き家の維持コストは年間50〜100万円(固定資産税・管理費・修繕費)。10年で500〜1,000万円。しかし売却すると家族の「帰る場所」が永久に失われる。どちらにも取り返しのつかないリスクがあります。
筆者の判断:実家(築38年・地方都市)の場合。年間維持費試算60万円+10年後の大規模修繕200万円=10年で800万円の見込み。売却価格600万円との比較で「維持継続」を選択した理由と後悔点。
記事内の「売る vs 残すシミュレーション表」に自分の実家の数字を入力して、今月中に家族で話し合いの場を作りましょう。
親が亡くなった後、実家をどうするか——これは多くの相続人が直面する、答えのない問いです。
「思い出の家を手放したくない」という感情と、「維持費がかかり続ける現実」の間で、私自身も長い時間悩みました。この記事では、その判断をするための具体的な「軸」と「コスト計算」を共有します。
実家維持にかかる年間コストの現実
| 費用項目 | 年間目安 |
|---|---|
| 固定資産税 | 10〜20万円 |
| 火災・地震保険 | 3〜8万円 |
| 光熱費(最低限維持) | 5〜10万円 |
| 管理・清掃費用 | 5〜15万円 |
| 修繕積立(築年数による) | 10〜30万円 |
| 合計(概算) | 33〜83万円/年 |
住む人がいない実家でも、最低でも年間30〜40万円の維持費が継続的にかかります。10年間で300〜400万円。この現実を直視した上で判断する必要があります。
「守る」選択が合う人・「手放す」選択が合う人
実家を維持・活用すべきケース
- 5〜10年以内に自分または子どもが住む可能性がある
- 賃貸に出して収益が維持費を上回る見込みがある
- 土地の資産価値が高く、将来的な値上がりが期待できる
- 親族間で「残したい」という合意がある
売却・処分を検討すべきケース
- 維持費が収入を上回り、毎年赤字になっている
- 相続人全員が遠方に住んでおり、管理が困難
- 建物の老朽化が進み、修繕費用が膨大になる見込み
- 誰も住む予定がなく、空き家が長期化する
空き家放置のリスク——「特定空き家」に指定されると固定資産税が6倍に
2015年施行の「空家等対策特別措置法」により、管理不全な空き家は「特定空き家」に指定されることがあります。指定されると、固定資産税の住宅用地の特例(6分の1軽減)が解除され、実質的に固定資産税が最大6倍になる可能性があります。
私が出した「当面維持・将来検討」という結論
私の場合、実家には88歳の祖母が住んでいるため、今は売却という選択肢がありません。しかし祖母が施設に入った後のことを考え、「建物の修繕を最低限に抑え、売却しやすい状態を維持する」方針を立てています。
感情的な判断ではなく、「誰がいつ何のために使うか」という具体的な条件を整理することが、後悔のない判断への近道です。
まとめ
実家の維持には年間30〜80万円のコストがかかります。「5〜10年以内に住む予定がある」「賃貸収益が維持費を上回る」なら維持、それ以外は早期売却が経済的に合理的です。感情ではなく数字と具体的な活用シナリオで、家族が合意できる選択を目指しましょう。
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実家を「売る」vs「残す」判断マトリクス
| 条件 | 売却優先 | 維持優先 |
|---|---|---|
| 5〜10年以内に誰かが住む予定 | × | ◎ |
| 年間維持費が賃料収入を上回る | ◎ | × |
| 建物の築年数が30年超・修繕コスト大 | ◎ | × |
| 立地が良く賃貸需要がある | × | ◎(賃貸活用) |
| 兄弟間で方針が合わない | ◎(現金分配が最もシンプル) | ×(争いの原因になりやすい) |
| 相続税の納税資金が必要 | ◎ | × |
実家売却の流れと費用
実家を売却する場合、以下のステップと費用がかかります。
- ①相続登記(義務化2024年4月〜):司法書士費用5〜10万円
- ②不動産査定・仲介会社選定:費用ゼロ(複数社に無料査定依頼)
- ③売却契約・引き渡し:仲介手数料(売却額の3%+6万円+消費税が上限)
- ④譲渡所得税:売却益がある場合に課税(3,000万円特別控除が使える場合あり)
3,000万円で売却した場合の仲介手数料は最大約105.6万円。費用を差し引いた後の手取りを事前に試算しておきましょう。
実家を維持する場合の年間コスト
| 費用項目 | 年間目安 |
|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 10〜30万円 |
| 火災保険・地震保険 | 3〜8万円 |
| 光熱費(最低限の維持) | 3〜6万円 |
| 外壁・屋根の修繕積立 | 5〜15万円(積立目安) |
| 庭の手入れ・清掃 | 2〜10万円 |
| 合計 | 23〜69万円/年 |
10年間で最大690万円の維持コストがかかる計算です。「もったいなくて売れない」という感情よりも、数字でコストを見える化することが合理的な判断につながります。
よくある質問(Q&A)
Q. 空き家のまま放置するとどうなりますか?
A. 「特定空き家」に指定されると固定資産税の住宅用地特例(6分の1に軽減)が外れ、税額が最大6倍になります。また行政から改善勧告・命令が来て、最終的には行政代執行(強制解体)になるケースもあります。放置するほどリスクが高まるため、早期に方針を決めることが重要です。