介護費用はまず親の資産から。クレジットカードは子・孫世代が賢く使う
「介護にかかるお金、誰が払うの?」
訪問リハビリの仕事をしながら、実家の介護に関わるようになって最初に直面したのがこの問題だった。ヘルパーの費用、訪問診療の交通費、おむつ代、医療費の立替。最初は「とりあえず自分が払って後で精算しよう」と思っていた。でも、それが続くと自分の家計が静かに削られていく。
その経験から今、自分の中に一つの原則がある。「介護費用はまず、介護される側(親)の資産から使う」。これが崩れると、介護する側が先に倒れる。
「とりあえず立替」が積み重なると何が起きるか
介護が始まった直後は、費用の流れが混乱しやすい。病院の支払い、薬代、介護用品の購入——気づいたら子世代が先に払って、「後で精算」のままになっているケースが多い。
特に問題になるのは、立替が長期化したとき。月に3〜5万円の立替が6ヶ月続くと、それだけで18〜30万円が親に「貸した状態」になる。家族だから請求しにくい。でもそれは、自分の資産が静かに減り続けている現実だ。
原則:介護費用は親の資産から出す
私が実践しているのは、介護に関わる費用は基本的に親の口座・資産から支出するという原則だ。
理由は3つある。
- 子世代の家計を守るため
自分の家計が成り立っていることが、介護を続けられる前提条件だ。介護する側が家計破綻したら、介護自体が続けられなくなる。 - 相続で「誰が何を払ったか」問題を防ぐため
兄弟がいる場合、子世代が立替続けると「なんで自分だけ負担が多いんだ」という話になる。親の口座から出せば、記録が残り、後の相続でもめにくい。 - 親自身の自立を守るため
自分の費用は自分の資産で賄う。それが尊厳でもある。過度に子に依存する構造は、双方にとって持続可能ではない。
クレジットカードを活用した費用管理の実際
ただ実際には、「親の口座から直接払えない場面」も出てくる。ネット注文の介護用品、急な薬代、病院窓口での支払いなど。そういう場面では、子世代がクレカで立替→月末に親口座から精算という流れを作ることで管理しやすくなった。
私の場合、実家関連の支出も含めてクレジットカードに集約している。固定電話代、インターネット、介護用品——すべてカード払いにすることで、月末に明細を見れば「実家にいくらかかったか」が一目でわかる。そのままポイントも貯まるので、還元分を介護費用の一部に充てることもできる。
| 費用の種類 | 支払い元の原則 | 管理のコツ |
|---|---|---|
| 医療費・薬代 | 親の口座・高額療養費制度を活用 | 限度額適用認定証を事前に取得 |
| 訪問介護・リハビリ | 親の介護保険で1割負担 | ケアマネと費用を事前確認 |
| 日用品・介護用品 | 子がカード立替→月末精算 | 専用カードで管理すると明細が分かりやすい |
| 施設入居費 | 親の年金・預金から | 特養・老健・有料老人ホームで月額が大きく異なる |
口座・カード・ポイントカードを減らす理由
介護が始まる前の準備として、私が一番おすすめしたいのは「持ち物の整理」だ。
口座の数を減らす、クレジットカードの数を減らす、ポイントカードの数を減らす。これは親世代にも自分世代にも言えることで、整理されていないほど、いざというときに混乱する。
特に親の口座が複数の銀行に分散していると、介護が始まった後や、亡くなった後の手続きが本当に大変になる。「通帳がどこにあるかわからない」「この口座何のための口座だっけ」という状態は、家族全員を疲弊させる。
「自分の家計が成り立つこと」が介護の前提
最後に、一番大切なことをはっきり書いておく。
介護する側の家計が崩れると、介護そのものが続けられなくなる。
介護は短距離走ではない。長い場合は10年以上続く。その間、介護する側が経済的に安定していることが、持続可能な介護の絶対条件だ。「親のためだから」と自分の家計を削り続けることは、長期的には親のためにもならない。
まず自分の収支を黒字に保つ。その上で、できる範囲で介護を支える。おんぶに抱っこの構造になると、双方が崩れる。
→ 介護離職で消える1,300万円——辞めずに乗り切る5つの技術