毎年、秋になると松坂牛が届いていた。

日本生命の担当者から、母宛に。

「いい保険に入ってますね」と言われながら、母は何十年も保険料を払い続けた。医療保険、終身保険、個人年金保険。JAにも入っていた。車両保険も。

訪問リハビリの仕事をしながら、少しずつお金の勉強をするようになって気づいた。これ、全部いらなかったんじゃないか。

この記事では、保険を全部見直した実体験をもとに「本当に必要な保険」の考え方をお伝えします。現場で見てきた老後のお金の現実も交えながら。

日本の公的保険は、世界トップクラスだという事実

まず前提として知っておいてほしいことがある。

日本は毎月、給料から健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料を天引きされている。金額にすると、会社員なら給与の15〜20%近くが社会保険料として消えていく。

その代わりに、日本の公的保険は驚くほど充実している。

🛡 知っておくべき公的保険の3大制度

① 高額療養費制度
月の医療費には上限がある。一般的な収入なら月8〜9万円を超えた分は国が払ってくれる。大病をしても自己負担は限定的。

② 傷病手当金
会社員が病気・ケガで休職しても、最長1年6ヶ月、給与の約2/3が支給される。働けない期間も収入がゼロにはならない。

③ 介護保険
要介護認定を受ければ、訪問リハビリ・訪問介護などのサービスを1割負担で使える。月何十万もかかる介護も、公的保険があれば現実的なコストに収まる。

これを知ったとき、正直驚いた。「こんなに手厚いなら、民間保険で上乗せする必要ってどこにあるんだろう」と。

保険は「確率小・損失大」にしか使わない

両学長のYouTubeで、保険の本質を一言で整理する言葉に出会った。

保険が必要なのは
「確率が低く、損失が大きい」場面だけ

それ以外は、貯金で対応できる

火災で家が全焼する確率は低い。でも起きたら数千万円の損失になる。だから火災保険は入る価値がある。

では医療保険は?日本には高額療養費制度がある。月の自己負担には上限がある。「確率小・損失大」の条件を、公的保険がすでにカバーしている。

終身保険は?貯蓄代わりと言われるが、利回りはインデックス投資と比べると話にならない水準だ。

個人年金保険は?インフレに弱く、流動性もない。新NISAでインデックス投資した方が圧倒的にいい。

最初は「得か損か」で考えていたけれど、本質は違った。かかるものはかかる。問題は、かかったときに自分で払えるかどうかだ。

保険を全部解約するまで

母親に相談したら「やめときな、何かあったときのために」と言われた。

親心はわかる。お金に困らない人生を歩んでほしいという思いからだ。ただ、それを数字で説明した。公的保険でどこまでカバーされるか。民間保険に払っている保険料を投資に回したらどうなるか。

数字で見せたとき、母も理解してくれた。

解約するときは、担当者に連絡しなかった。担当者を通すと引き止め工作が始まるからだ。保険会社の本社に直接電話して、解約書類を郵送してもらった。これだけでスムーズに終わった。

💡 解約の裏技:担当者ではなく、保険会社の「本社(カスタマーセンター)」に直接電話して解約書類を請求する。担当者を通すと時間とエネルギーを消耗する。

じゃあ、何に入ればいいのか

シンプルに整理するとこうなる。

📋 保険の整理基準

貯金が200万円未満のうち→ 県民共済(月2,000円前後の掛け捨て)で十分

自動車を持っている→ 自賠責は必須。任意保険も対人・対物は必要

持ち家がある→ 火災保険は入る(損失が大きすぎるため)

終身保険・個人年金保険→ 貯蓄・運用は別で行う方が効率的

医療保険(公的保険で対応できる範囲)→ 高額療養費制度で上限あり

訪問リハビリの現場で感じること

田舎で訪問リハビリをしていると、持ち家のご家庭が多い。土地も家もある。本来、老後にお金で困らないはずの条件が揃っている。

それでも、生活が苦しそうなご家庭を見ることがある。

理由を考えると、正しい金融教育を受けていないこと、そして時代の変化に対応できていないことが大きいと思う。昔は保険と預貯金で十分だった。今は違う。インデックス投資、新NISA、クレカ積立——使えるツールが増えた分、知識のある人とない人で差がつきやすくなっている。

日本の高配当株を少しでも持っていれば、年金+配当金で生活が成り立つ。そのことを知っているかどうかだけで、老後の安心感はまるで変わる。

まとめ:保険は「守るもの」ではなく「絞るもの」

松坂牛は美味しかったと思う。でも、その松坂牛代は毎月の保険料から出ていた。

保険会社が牛肉を贈れるのは、それだけ利益があるからだ。つまり、加入者にとっては払いすぎているということでもある。

保険は「確率小・損失大」の場面だけに絞る。公的保険でカバーできる部分は民間保険を持たない。浮いた保険料は投資に回す。

これが、現場で働きながらお金と向き合ってきた自分なりの結論だ。

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ゆるり
リハビリ職の長男。片道2.5時間の距離にある実家で、88歳の祖母の介護と母の相続に向き合っています。看護師だった母が一人で守り続けた家と家族を、今度は自分が守る番だと思っています。母の遺産を新NISAや高配当株で運用しながら、介護・仕事・家族の思い出を両立させるための試行錯誤を、同じ悩みを持つ方へ届けます。